北アルプス常念小屋 小屋番日記: 7月 2017

2017年7月23日日曜日

夏山シーズンが、今年もやって来ました。

こんにちは、常念小屋です。

今年も、常念岳へのメインルートである一ノ沢登山道の4箇所に橋を架け、地元の安曇野、松本の中学生登山もスタートしました。お陰さまで、天気の良い日はたくさんのお客様にお越しいただき、連日賑わいをみせています。

先日は、常念岳学校登山の発祥地、旧堀金村の堀金中学校をはじめ、同じく安曇野市の明科中学校、豊科北中学校の第2学年の皆さんに登りに来て頂きました。雨や風に打たれたり、虫に噛まれたり、必ずしも楽しいだけの登山ではなかったかもしれませんが、大きくなったらまた是非、登りに来て頂きたいものです。

夏山シーズン到来で、これからますます多くのお客様にご利用頂くこととなりますが、天候の急変、暴風や落雷、雨による低体温症等の夏山リスクを十分理解して頂いた上で、安全で楽しい登山を心がけて頂きたく思います。



学校登山、下山前の朝礼風景。


今年の常念乗越のコマクサ。

2017年7月11日火曜日

常念小屋「親方」、山田恒男逝去のご報告。

去る6月26日、長年常念小屋の「親方」として親しまれて参りました、常念小屋会長、山田恒男が逝去いたしました。常念小屋の創設者、山田利一から受け継いだ常念小屋と、北アルプスをはじめとする日本の登山文化の発展に尽力された「親方」。近年は、晩夏開催の「常念音楽祭」において、安曇節やほら貝の演奏等を披露し、小屋を訪れた登山客の皆様方を楽しませて参りました。皆様の生前のご厚情に感謝しますともに、ここに謹んでご報告を申し上げます。

「親方自身の筆による、知られざる?常念小屋の歴史」

1919年 (大正8年)
北アルプス尾根最初の山小屋常念坊・乗越小屋、7月27日開業
1932年 山田恒男出生 8歳で初登山
1951年 恒男高卒小屋番に
1956年 父利一死去
1957年 一ノ俣の谷丸太製材 山小屋改築(材は肩で運ぶ)
1962年 山小屋最初の自家発電開始 水は一ノ俣からポンプアップ
1964年 ヘリコプターによる輸送開始(徳澤の河原から)
東京オリンピック(山小屋最初のテレビ観戦)
1965年 電話開局
1969年 家族登山 父・母・健一郎(6歳)・康司(4歳)・貴子(2歳)
1973年 横通岳ケーブル計画
※日本アルプスを守る会会長・信州大学学長加藤先生を中心に
1500人が集まり反対運動を行い、ケーブル計画を断念させた。(初めての市民運動) 1975年 NHKテレビ水色の時(モデルは写真家田淵先生ほか)
1985年 信州大学診療所開設(加藤学長の看板)
1992年 (9月) 皇太子殿下登山宿泊(結婚の前年)
1996年~ 小屋の改修や設備の充実が進む
2000年 全国山岳国立公園で最初のトイレ処理浄化槽等設置(3000万円以上)




常念音楽祭での、在りし日の親方。